佳き日に



一週間後、ビクビクしながら前回の路地に行ってみると、すでに雪はそこにいた。

姿勢がとてもいいというわけではないが、凛とした姿だった。

何時に来いなどとは指定されていなかったが、さすがに日暮れ頃に行ったら遅過ぎるだろう。
そう思い、琥珀は学校からそのまま走ってやってきた。

走ってみて分かったが、スカートは走るのには向いてない。
裾が一々足に引っかかって邪魔だ。

「行くぞ。」

「は、はい…。」

久しぶりに全力で走ってぜぇぜぇと肩を揺らす琥珀。
雪は無表情にその様子を見つめていただけだった。

行くぞ、と言ってもどこに、とは教えてくれない。
一体これからどんな危険が待っているのだろう。
周りの温度が急激に下がった気がした。
寒い。

「お前は、コンタクトか何か、してるのか?」

「目のですか?してますよ。」

いくつかの曲がり角を曲がり、かなり薄暗い場所を歩いている時、唐突に雪が聞いてきた。
雪が先をドンドン歩いて行く。
元々背が高く、足のリーチも長いせいか、琥珀は駆け足じゃないとついて行けない。

「目が、悪いのか?」

「悪いですよ。」

周りの路地の風景が、暗くなんとも怪しい感じだ。
闇市というのか、なんと言うか。
臓器売買とかやってそうな雰囲気だな、と琥珀は思った。

「今、何時だ?」

「多分3時半くらいです。」

雪の話し方は独特だ。
特段スローペースという訳でもないが、つかみどころのないテンポで話す。


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