佳き日に




「俺は本物の赤い女に会いたい。」

唐突に何を言い出すんだこいつは、と突っ込みたいのを堪え、琴は雪を見た。

雪はいつも通りの無表情。
琴も閏も雪の真意が全く分からず黙っているしかなかった。

「元々秘密警察に入ったのも赤い女について何か情報を得られるかと思ったからだ。お前ら二人は強かったから誘った。」

確かに閏と琴は雪に誘われて秘密警察に入った。

メモリーズなのに敵である警察側に入ることには不安もあったが、それよりも今メモリーズでは一番強いだろうと言われていた雪に誘われた喜びの方が大きかった。

後で雪は昔メモリーズ最強と言われた雨の息子だということを知り納得した。

「一人で警察側につく勇気がなくてお前ら二人を利用した。悪かった。」


そう言ってくいっと頭を下げた雪。

琴と閏は顔を見合わせる。
雪に頭を下げられるなんて初めての経験で落ち着かなかった。

「俺は別に、利用されてたとしても結果的に良かったし。警察に追われないし、報酬もそこそこ高いし。」

琴がそう言えば雪は口元を綻ばせて「そうか。」と言った。

閏は口に手をあて下を向き何かを考えていた。


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