佳き日に
[2]
ヒョコヒョコと足を引きずりながら歩く鉛丹。
柳琥珀との交渉が終わった帰り道だった。
「大丈夫ですか、兄さん。」
そう言って桔梗が肩を貸そうとしても「いらねぇ。」とぶっきらぼうに言い退けられる。
勝手に交渉内容を決めてしまったことに怒っているのだ。
まいったなぁ、と桔梗は思う。
「兄さん、ごめんなさい。」
「・・・別にいーよ。」
「足、どうですか?」
「・・・たぶん、折れてる。」
鉛丹が柳琥珀を気絶させようとと近づいたとき、彼女は転んで鉛丹の足を踏んだ。
ハイヒールのかかと部分で鉛丹の足が踏まれている光景は見ているだけでも痛そうだった。
「兄さんの足を踏んだのはわざとですかね?」
「俺が気絶させようとしたのに気付いて、か。」
「本当にそうだとしたら、僕らに勝ち目はないんじゃないでしょうか。」
「なんでだよ。」
「ハイヒールのかかとでピンポイントに後ろの人の足を踏むことなんて、僕も兄さんも多分出来ませんよ。あっさりやってのける人なんて、メモリーズでも誰一人いないと思います。」
まぁ、それは琥珀が狙って鉛丹の足を踏んだのだと考えた場合の話だが。