佳き日に
[6]
『あ、もしもし、俺、雪だ。この前の依頼、キャンセルで。悪いな。』
「・・・了解。」
それだけの会話であっけなく切られた電話。
番号を知られないためか、公衆電話からかかってきていた。
惜しいことをしたな、と椿は思った。
先日、雪から依頼があったのだ。
琴と閏が警察側だという情報を否定してくれ、と。
こちらの信用に関わるので断ろうと思った。
だが、雪が出すと言った報酬のあまりの大きさに引き受けてしまったのだ。
まぁ結局キャンセルになったが。
「椿、赤い女の情報何か新しいのないの?」
椿が電話を終えたのを見計らって菘が聞いてきた。
「ごめん、ない。」
椿は一応中立の立場に身をおいているつもりである。
どちらかに味方をすれば、手に入れられる情報が偏ってしまう。
付き合いの長い菘に罪悪感は湧くが、こればかりは譲れない。
何か食べようかと思い、腰を浮かせたところで電話がなる。
タイミング悪いな、と思いながら電話にでる。