佳き日に
「もしもし?」
『あぁ、椿。赤い女の情報が入ったぞ。』
菘に目配せすれば彼女はがばっと立ち上がりこちらに寄ってくる。
椿は赤い女の情報を集めるのを、別の情報屋に依頼していたのだ。
信頼でき、なおかつ人間の情報屋に。
赤い女について情報を集めるのは、敵であるメモリーズよりも人間の方が集めやすい。
椿には教えてくれないことも、人間の情報屋にはほいほい教えてくれることもあるのだ。
『赤い女がまた動き出したらしい。あ、本物の方だぞ。』
「分かってるよ。で、またメモリーズを大量に殺していくつもりなの?」
『いや、そうじゃない。』
電話の向こうでは不自然な空白があった。
何やら迷っているような雰囲気だ。
何でもいいから早く教えてよ、と椿は顔をしかめた。
その空気が伝わったのか、電話の向こうの人間の情報屋は口を開いた。
『椿、お前が狙われてる。』
「へぇ。おもしろいじゃん。」
『お前これ冗談抜きにやべぇぞ。まだ特定されてないけど、赤い女は自分の情報集めていたメモリーズを探していた。悪い事は言わねぇから早く逃げろ。』
「まぁ、私は大丈夫よ。むしろバッチコイ。」
『・・・すげーなお前。』
「調べてくれてありがとね。お金はちゃんと振り込んでおいたから。」
椿はそれだけ言うと電話を切った。