佳き日に


雪がいることは珍しいが、いるときは本を読んでいたと思う。

「アンドロイドは?」

「…電気羊の夢を見るか、だ。」

「へー、聞いたことないや。」

「だろうな。」

何日前かの会話を思い出す。
あの時、初めて雪からメモリーズについて教えてもらった。
少しだけだが。
だが、クラスでの友達の会話、梔子の死体が消えた疑問は解けた。

「どんな話?」

「人間がアンドロイドを殺していく話だ。」

「面白い?」

「なかなか。」

こっちにはチラリとも目を向けない。
少しムッとするが、雪はいつだってそうだ。

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