佳き日に
「俺はこのあとも仕事があるから東京に残るが、お前はどうする?」
「私は福島に残るよ。」
実際、エナカは少し怖かった。
現役の頃からもう二十年も経ち、思うように動かない身体でメモリーズとやりあえるわけがないと、どこかで思っていた。
それでも、メモリーズと戦い続ける同僚を見ていると、自分が何をしたかったのか分からなくなってしまう。
暗い顔になったエナカをせんべいは見やる。
「俺は、お前の殺し方は好きじゃなかった。」
それはエナカに言われてもどうしようもない。
エナカは短く笑った。
「でも、お前のことは気に入ってたぞ。」
エナカの殺し方はとても単純。
呼吸を、止めるだけ。
息を止めて、喘ぎ、苦しむ敵を見る。
それだけ。
「じゃあな。」
そう言ってせんべいは去っていった。