佳き日に
桔梗が隣で笑っているのが分かる。
予想外のことで、戸惑いもあるが、それ以上にこの状況を楽しんでいるのだろう。
どういうことだよ、と鉛丹は呟いた。
それは、明らかに、騒々しい街の中では浮いていた。
それでも、凛としていた。
あの色は彼岸花を連想させるな、と鉛丹はなんともなしにそんなことを思った。
「何を伝えたいんですかね、あれは。」
「どう考えても宣戦布告だろ。」
信号が変わる。
チリン、と音をたてて走り出す自転車。
それと同時に動き出す、赤。
「桔梗、あれ写真撮って椿に身元調べてもらえ。」
「節約じゃないんですか?」
「これは例外だ。」
真っ赤なドレス。
黒い髪。
赤いリボン。
赤い、ヒールの靴。
まさに赤い女だ。
だが、肝心のその女はやけに若い。
可愛いと綺麗の中間の年齢だ。
赤い女の後継者か何かか、と鉛丹は考える。