佳き日に



閏は未だ腰を上げようとしない琥珀を見る。
何と声をかければいいのか分からなかった。
萩と灰神楽の死体を見つめるその目はやはり虚ろで。

突然、今まで静寂を保っていたその乾いた唇が動いた。


「赤い女は、メモリーズにとってそんなに危険なの?」

琥珀のいつもとは少し違った様子に、琴と閏は顔を見合わせた。
お互いに何とも言えないような顔をする。
雪はただ冷めた目で琥珀を見つめた。

一番始めに答えたのは、雪だった。


「赤い女は、地震、雷、火事、親父で言うところの地震だな、メモリーズにとって。」

「一番怖いんだ。」

ふっと、微かに琥珀が笑みをこぼす。




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