佳き日に
「駅前でウロウロしていたなら、赤い女は一人くらいメモリーズを見つけたはずじゃないの?現に五人のメモリーズから赤い女の目撃情報がでてるんだから。」
「確かに、そこが不思議だ。赤い女なら見つけたメモリーズは片端から殺していくはず。」
だけど、ここ一週間メモリーズが殺されたという情報は聞かない。
「1,2件殺された奴らはいるが、そいつらは仕事でしくって依頼人に殺されたって話だ。」
「新しい赤い女はメモリーズを殺せる自信がなかったって訳?」
自信がない赤い女なんて、ありえないよなぁ、と思いながらも菘は尋ねてしまった。
しかし、事実はことごとく斜め上をいく。
「いや、それよりも、人間とメモリーズの見分け方を知らないようだ。」
「はぁ!?」
驚きのあまり菘は大声を上げてしまった。
あまりのことに、次に言うべきことを考えるのに数秒かかった。
「だ、だって、メモリーズの見分け方も知らないのに赤い女を名乗れる訳ないじゃん!!」
「いや、それが、本当に見分けられないみたいだぞ。」
椿の表情から察するに、彼女もまだそのことについてはあまり信じられないらしい。
「勇敢にも琴が駅前で赤い女を見つけた時、記憶を盗もうと試みたらしい。」
椿の言葉に菘はゲッと顔をしかめる。
「琴、死亡フラグじゃん。」
「だと思うよね。でも、3秒以上目を見つめていたのに、赤い女はノーリアクションだったらしいよ。」
元々しかめていた菘の顔が呆れの表情に変わる。
「・・・嘘でしょ。相手の目をジッと見つめるなんて、自分はメモリーズだって叫んでるようなものなのに。」
「本当に気づいてない感じだったらしい。琴もかなり不思議がってたしね。」
そりゃそうだ。
あの赤い女がメモリーズを見分けられない、なんて。
誰だってなかなか信じないだろう。