佳き日に
[3]
ウィッグにサングラス。
胸元が大きく開いた大人っぽい服に、ヒールの高い靴。
偽装パスポート。
それらを畳の上に並べ、菘は一息ついた。
出費は思った以上だったが、止むを得ないだろう。
逃げて、生き延びるためなのだから。
菘が買い物袋から出したそれらを眺めていたら、桔梗が声をかけてきた。
「菘さん準備早いですね。」
「普通でしょこれくらい。やることやったのに逃げるときに失敗するなんてマヌケなことしたくないし。」
ツンと尖った態度で菘がそう言えば、桔梗はかすかに笑った。
そういえば、先程から鉛丹の姿が見えないな、と菘は思ったが桔梗が何も言わないのだから大したことではないのだろう。
「いつにします?」
なんてことないように桔梗は切り出してきた。
菘は畳の上に広がるクリーム色の服を見ながら考える。
いつ、とは計画の実行日時。
つまり、柳琥珀を誘拐する日だ。
「車も揃ったし、武器はある?」
「一通りは揃ってます。」
「そう。」
手を顎につけ菘は考える。