佳き日に





[1]




時間が経ってしまったせいか目の前に置いてあるコーヒーはすっかり冷めてしまっていた。

琥珀は音をたてないようにそれを飲み手前に座る雪を見る。

ビー玉みたいな茶色い目が見つめる先は、雨の日記だ。


「茜って名前の人を調べれば本物の赤い女かどうか分かるんじゃないの?」

「何年も前にやった。結果は空振りだったけどな。」

何の感慨もなく雪はそう言い捨てた。


「改名したんじゃないでしょうか。」

「改名?」

閏の思いつきに琥珀はオウム返しする。

「赤い女は一応警察に所属していたのですから、改名したという事実を隠蔽することも出来たはずです。」

「どんな名前にしたんだろうな。」

「今流行りのキラキラネームとか?」

「キラキラネーム?」

なんとなくふざけて言ってみたら、雪が食いついてきた。



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