佳き日に




[7]




見失った。

琴は辺りに目を配らせながら全力で走る。
鉛丹が琥珀の後を追いかけていたのは見ていた。

桔梗を二、三発殴りつけすぐに琴も後を追ったが鉛丹の姿は見えない。


ザワザワと人が動き回る通りに出た。
何台かパトカーが停まっている。
鉛丹の仕業か、とピンときた。

ここにいる人たちに聞けば二人が何処に行ったのか分かるかもしれない。

琴が近くにいる人に話しかけようとしたとき、後ろからグイッと肩を引かれた。
思わずパシンとその掴んできた手を払ってしまった。



「琴さんですね?」


黒いスーツに、サングラス。
琴の睨みにも動じない男。
秘密警察の奴か、来るのが遅え。

琴は顔を歪めて舌打ちした。


「鉛丹が出たそうです。」

「知ってるし。」

今そいつを追ってる真最中だっつーの、と琴は不機嫌に吐き捨てる。



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