佳き日に





「……。」


年下の女の子に泣かれるという未だかつて経験したことのない状況に雪は石化していた。
閏はつい場も考えずに噴き出しそうになった。

なんとか口元を抑え耐える。


「雪先輩二十一にもなって女の子泣かせないでくださいよ。」

「……頼むからちょっと黙っててくれ。」


珍しく困惑した様子の雪。
茶化した閏を睨む余裕もないようだ。

好きな子を泣かせたのだから余裕がないのも分かるが。

雪は手早く何枚かティッシュを取り出し琥珀に押し付ける。


「悪かった。分かったから泣き止んでくれ。」


雪からのティッシュでズビーッと鼻をかむ琥珀。
女らしさの欠片もないその仕草に閏は笑ってしまった。

気づけば隣でエナカも笑っている。


「若いねー。」

そう言ってケラケラ笑う彼女に閏は目を細めた。




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