佳き日に
「で、頼みって何?」
いくらエナカが考え込んでも真相は出てこないだろう。
まずは雪の話を聞くことにしよう、と顔を上げた。
すると、雪はなんとも意外なことを口にした。
「桔梗を学校に行かせてやってくれ。」
ポカンと二度目の呆然。
「どういう風の吹き回し?」
「は?」
「だってあんた、車の中で桔梗は敵だって言ってたじゃない。」
エナカの言葉に雪は少し眉を動かした。
視線を左下に落とす。
ははぁ、と、女の勘だか年長者の経験だか区別はできないが、そこでエナカはピンときた。
「琥珀に頼まれたの?」
ニヤニヤしてエナカがそう言えば雪は途端に不機嫌そうな顔になった。
「俺の独断だ。」
「へぇ。」
エナカはカップを食器洗浄機に入れる。