男子校のお姫様
その瞬間、空気が凍った気がした。
「ひどぉい。そんなこと言うくらい、その子かわいいんでしょうね?」
「そうよ。あたし達よりかわいい子なんているはずないわ」
「それこそ芸能人でないかぎりね」
彼女達は口ぐちにそう告げた。
すいません・・・。超地味子です・・・。
「そんな言うなら見せてあげようか?」
「君達には見えてなかったかもしれないけど、ずっと僕達の後ろにいたんだよ」
そういうと、あたしは慧に腕を引っ張られて前に引きずり出された。
「えっ・・・きゃっ!」
急なことにバランスを崩したあたしを琉生兄が支えてくれた。
「琉生兄、ありがと」
あたしは琉生兄にお礼を言うと、顔をあげた。
「「「「「っ・・・(負けた・・・)」」」」」
女の子たちは少しの間黙っていたかと思うと、走って行ってしまった。
それを不思議そうに眺めていたあたしにホームにいた誰もが見惚れていたことにあたしは気づかなかった。