イジワル社長と秘密の結婚

元カノ

「おはよう咲希？どうしたの？寝不足？」

「おはよう、ナオ。寝不足に見える？」

朝から爽やかなナオとは違って、私はどんよりした気分だ。結局、昨日は一睡も出来なかったからか、目の下にはクマができて化粧ノリは最悪。

こんなに気になるなら、ちゃんと蒼真さんに聞けば良かった。

「フラフラしてるじゃない。大丈夫？」

「大丈夫。ごめんね、ちょっと考えごとしてて」

と苦笑いを向けると、ナオは呆れた顔をした。

「気をつけてね……」

私は弱々しく笑みを返すと、パソコンを立ち上げる。昨夜は、蒼真さんは仕事として真由さんと会ったんだよね。

それは間違いないと思うのに、心のどこかで疑う自分がいる。ため息を一つついたとき、


「伊原さん、おはよう」


課長が、私の肩を軽く叩いてきた。