イジワル社長と秘密の結婚
販促ツールか……。蒼真さんの説明によると、A四サイズほどのチラシ両面で収まる程度のツールで……とのことだけど、意外と大変そう。

性別や立場の違う人間で案を出す方がいいということで、私たちに声がかかったみたいだ。

いつもは余裕な感じのナオも、なにか考え込んでいるようだった。

「分かりました。とにかく、やってみます」

部長がそう返事をすると、みんな立ち上がった。大変だけど、やりがいのある仕事を任されたかも。

そう思いながら部屋を出ようとしたとき、


「伊原さん、ちょっと……」


と、蒼真さんに呼び止められた。


「はい……」

私だけ呼び止めるなんて、なんの用だろう。部長たちはそのまま出ていき、部屋には蒼真さんと二人だけになった。


でも、それでいい。


さっさと愛想を尽かされて、離婚された方がいいもん。


みんなが、出て行った部屋に蒼真と二人きり…。


あたしはゆっくりと、振り向いた。


「何よ?まだ何か用があるわけ?」




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