『短編』紙婚式
どうしたの?って、亮が聞かないでよ。
「……なんでもない」
うつむいたままぽつりと呟き、ご飯を口に運ぶ。
「ほんとに?」
そう言って、亮が心配そうにわたしの様子を窺っていると、亮の携帯が鳴った。
亮は携帯を取り出してディスプレイを確認した途端、慌てた様子でトイレに駆け込んだ。
なに、今の。
なんであんなに慌てるの?
女、から?
梨花さん……から?
わたしはいけないと思いつつ、忍び足でトイレに近づいた。
中から相づちを打つ亮の声が聞こえる。
何を話しているんだろう……。
聞き耳を立てる。
すると。