『短編』紙婚式
「僕は、君だけを愛してる」
亮は、確かにそう言った。
確かに、そう聞こえた。
うそ……。
うそでしょ……。
目の前が真っ白になって、一瞬何も見えなくなってしまった。
無意識に、痛いほど唇を噛みしめていた。
その場に立っているのが、やっとだった。
すると、突然トイレの戸が開き、出てきた亮とばっちり目が合った。
亮は一瞬目を逸らした。
取り繕うように、
「トイレ?」
と尋ねるので、わたしはうんうんと何度も頷いた。
逃げるようにトイレに駆け込み、わたしは何度も何度も深呼吸をした。
だけど、裏切られた絶望感と悲しみが後から後から溢れ出てきて、自分の気持ちを抑えることができなかった。