『短編』紙婚式
そう。
わたしは、亮が好きで好きでたまらない。
何の取り柄もないただの派遣社員だったわたしを、亮は選んでくれた。
桜の花びらがひらりひらりと舞い落ちるある春の夜、亮は「僕と結婚してほしい」とプロポーズしてくれた。
亮は、わたしのことをかわいいって言ってくれる。
好きだ、って言ってくれる。
わたしは、ずっと亮と一緒にいたいから。
2人の関係がぎくしゃくしてしまうようなことをしたくない。
わたしのそばにずっと、亮がいてくれるのなら。
本当にただの浮気で、本気じゃないのなら。
わざわざ自分から大事(おおごと)にする必要はないんじゃないか、って思ってしまう。