『短編』紙婚式
返事がないので、あれ?と思っていると、突然後ろから抱きしめられ、思わず体に力が入ってしまった。
「ど、どうしたの?」
「仕事、行きたくないなぁ」
「なにかあったの?」
すると首を振り、
「菜々といたいから」
と寝ぼけた声で甘える。
わたしはそっと彼の腕に手を置き、
「じゃ、いっそ、休んじゃえば?」
冗談交じりにそう言うと、
「休みたいなぁ。休みたいけど、休めないんだよなぁ……」
と情けない声で呟く。
「じゃあ、頑張るしかないね」
「もぉっ」
亮はわたしを抱きしめたまま、いやいやと体をくねらせた。