『短編』紙婚式
こんな亮からはとても想像できないけれど、亮は仕事には厳しい。
寿退社するまで、派遣社員として亮と同じ部署にいたから、仕事ぶりはよく知っている。
当時は、亮が時々こんな風に甘えん坊になるなんてことは想像もできなかったけれど、今はそういうところがとてもかわいく思えて、わたしは大好き。
「今晩はハンバーグにするから、夕食楽しみに頑張ってきて」
「うん、わかった」
亮はわたしを後ろから抱きしめたまま、そっと頬にキスをした。
わたしったら、バカみたい。
亮の浮気を疑うなんて。
この人がそんなことするわけないじゃない。