オオカミ先輩の猫かぶり
「そっか…。頑張ったね。」



先輩は、真剣に優しく私の話を聞いてくれた。



まず、拓実をずっと好きだったこと。でも、美咲も大好きなこと。正直気持ちの整理ができていないこと。



涙をこらえている私を見て、自分のことのように悲しそうな顔をする先輩。



そんな先輩だから、きちんと先輩に対する気持ちを伝えなきゃ。



「先輩が好きだって言ってくれて、正直戸惑いました。でも、よく分からないんです。まだ拓実のこと諦められないのかも。だから、先輩の気持ちには答えられません。」



「そっか…。」



「でも、今日だけで先輩の良いところ沢山知りました。だから、先輩のこともっと知りたいです。」



「えっ本当に?」



信じられないというように目を見開いて驚く先輩。



「はい。だから、まずは2週間よろしくお願いします。」



「こちらこそ、よろしく。」



嬉しそうに笑う先輩を見て、私も嬉しくなった。



「すいません。ズルくて。」



直ぐ答えを出さないで、キープするみたいにして。



「何で?俺は向き合ってくれて、興味を持ってくれて、すごく嬉しいよ。」



きれいに笑う先輩に、それ以上何も言わなかった。
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