海☆恋
どれくらい藤の花を眺めていただろう。
少し風が冷たくなってきた。
私は、手に少し力を込めた。
「ねぇ、未来?今から海に行ってみない?」
「海?」
未来は、少し首を傾げて聞き返した。
私は、微笑み黙ってそれに頷いた。
「嫌なことや、辛いことがあった時、海の音と香りを感じていると心が安らぐから
治療の後に良く行くの……………病気が進行してて誰にも言えないときに海に癒して貰うの!
私は、海が大好きだから……………泣いてもその涙を消してくれるでしょう?
そしたら未来も先生と向き合えると思うの…………………だから、行かない?」
私は、出来るだけ笑顔で言った。
でも、未来は今にも泣きそうな顔でを私を見た。
「どうして?」
「え?」
未来は、唇を噛みしめたまま俯いた。
「どうして一人で泣くのよ!病気の事を知っている人に位甘えても良いじゃあない!
私もいるじゃあ無い!なのにどうして、心に閉じこめようとするの?!
私達じゃあ力になれない?!今まで…………………………黙っていたなんて……………………。」
.