海☆恋



どれくらい藤の花を眺めていただろう。



少し風が冷たくなってきた。



私は、手に少し力を込めた。



「ねぇ、未来?今から海に行ってみない?」



「海?」



未来は、少し首を傾げて聞き返した。



私は、微笑み黙ってそれに頷いた。



「嫌なことや、辛いことがあった時、海の音と香りを感じていると心が安らぐから

治療の後に良く行くの……………病気が進行してて誰にも言えないときに海に癒して貰うの!

私は、海が大好きだから……………泣いてもその涙を消してくれるでしょう?

そしたら未来も先生と向き合えると思うの…………………だから、行かない?」


私は、出来るだけ笑顔で言った。



でも、未来は今にも泣きそうな顔でを私を見た。



「どうして?」



「え?」



未来は、唇を噛みしめたまま俯いた。



「どうして一人で泣くのよ!病気の事を知っている人に位甘えても良いじゃあない!

私もいるじゃあ無い!なのにどうして、心に閉じこめようとするの?!

私達じゃあ力になれない?!今まで…………………………黙っていたなんて……………………。」



< 31 / 77 >

この作品をシェア

pagetop