隣人は高校教師


「ありがと、舞ちゃん。
…優しいじゃん。」

「もうしないですからね?
今度からはちゃんと沢山いる彼女に頼んでください。」

嫌味っぽくそう言うと、はぁ?という返事が返ってきた。

「彼女なんていないけど。
それに、絶対俺が知ってる女はこんな事しないね。」

「…え、だって毎晩…」

そう言いかけて、ハッとした。

「あぁ…、あんなの皆遊びだよ。
だから皆朝になると帰ってくんだ。
そんなもんだって、皆」

あっけらかんと答える彼に、戸惑いながら聞く。

「そんなの続ける意味あるんですか?」

その質問にはただ彼は微笑んだだけだった。

「…じゃあ、あなたが眠ったら帰りますから早く寝てください」

「あはは、眠りたくなくなるじゃん。」

もう、と頬を膨らますと、楽しそうに笑って静かに目を瞑った。

本当に何考えてるのか分からない人。
本音を隠すためにふざけてるような気がする。

しばらくして、小さな寝息が聞こえてきたので、冷やしたタオルを頭に乗せて自分の部屋に戻った。

関わらないと決めてたのに、巻き込むのがうまい人だ。
あんな風に中途半端に答えられると注意出来ないじゃない。
確信犯か天然か、ずるい人。

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