Nine
「なにしてるの」
違う声が聞こえてきたのは
その時だった。
とっさに目を開いて
周りを見渡しても
私達以外の姿は見えなかった。
「今すぐ離れてよ」
また聞こえる声。
今度ははっきりと聞こえた。
私の頭上。
木の上から聞こえてくる。
「誰だ!?」
彼は手を止めて上を見上げた。
すると、
ドカッ!
「ぐっ!!」
上から「誰か」が
彼めがけて落ちてきた!
呆然と立ち尽くす私。
気絶してしまった彼の上に
しゃがみ込むようにして
「誰か」が呟いた。
「千夜に手ぇ出すなんて
一億万年早いんだよ、バーカ」
