愛は満ちる月のように

(7)恋と罪の味

美月の甘い部分を味わったあと、昨夜踏み荒らした新雪に、再び彼は踏み入った。

最低なことをしているのかもしれない。


そう思いながらも、罪悪感は回を重ねるごとに悠の中から消えていった――。



「家に……帰らないとな。那智さんにも電話しておかないと、心配するだろうし」


ベージュ色のカーテンがオレンジ色に染まっている。夢中で抱き合ううちに、陽はだいぶ傾いてしまったようだ。

悠は自分の腕の中でうとうとしている美月に声をかけた。


「美月、眠るなら家に戻ってからにしたほうがいい。タクシーで十分程度だから……。それとも、まだ気分が悪い?」


美月はハッとした様子で、恥ずかしそうに乱れた髪をかき上げた。


「あんなことまでしておいて……今さら、体調を心配されても」


可愛い声が聞きたくて、かなり執拗に攻めてしまった。

憮然とした美月の表情に、後ろめたさを感じつつ、


「ごめんごめん、つい、夢中になった」


言い訳にもならない返事だ。

だが、美月にとっては違ったらしい。


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