愛は満ちる月のように
管理人が顔だけで弟だと納得するほど、ふたりはよく似ている。悠と変わらないほどの身長、体格は久しぶりに会った弟のほうが筋肉質に見えた。

思えば、O市にきてすぐボルダリングのクラブに入会したものの、最近はろくにトレーニングもしていない。

二十四歳になったばかりの真を見ていると、自分はもう若くはないのだと思い知らされる。

きっと、美月も同じ感想を持つだろう。


(女の尻ばかり追い回していた報い、だな)


悠はため息をつきながら、ここまで一緒に上がってきてくれた管理人に礼を言い、ドアを閉めたのだった。


~*~*~*~


書斎の明かりを点け、ソファベッドを用意した。

休憩を入れたといっても十時間以上バイクに乗ってきたのだ、若いとはいえ疲れは相当だろう。積もる話は明日に回し、悠は真のために布団を引っ張り出した。

一方、美月は小太郎と一緒に和室で休むという。


「あ、悪い兄貴、ビールもらっていい?」


すでにプルトップを開け、口に運びながら尋ねる。


「真……それを言うなら、もらった、じゃないのか?」

「……そうとも言う」

「そうとしか言わない!」


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