愛は満ちる月のように
~*~*~*~*~


薄暗いリビングに美月は足を下ろした。

いつもは開け放しの和室のふすまが、今は全部閉まっている。自分が出てきたところも、後ろ手でそっと閉めた。


(そういえば……ユウさんが言った言葉……あれは本気だったのかしら?)


真と小太郎が来る寸前、悠とふたりバルコニーで戯れていた。何度も重なり合い、キスを交わして、悠は何か言いたげだった。 

美月が悠の部屋に行くかどうか迷った、そのとき、


「小太郎くんは寝たのか?」

「……きゃ……」


ふいに話しかけられ、美月は小さく声を上げる。

悠だった。ソファに座り、少し酔った風情でこちらを見ていた。

テーブルの上には、冷蔵庫に入りっぱなしだった白ワインが置いてある。白ワインの注がれたグラスには水滴がビッシリとついていた。


「ええ……寝たわ。ごめんなさいね、突然やって来てしまって」


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