愛は満ちる月のように
『知り合いのオネーサンがいるんだけどさ。あ、風俗の人じゃないぜ。ケータイサイトで知り合ったんだ。バツイチで、Hの相手を探してて、若い子が好きなんだと。手取り足取り腰取り、教えてくれるぜ。俺が頼んでやるよ』


小岩と同じ女性と……というのに抵抗はあった。

だが、小学生のころから大人びた容姿には苦労してきた悠だ。十九歳なのに、当たり前のように二十代半ばといわれる。

そんな悠にとって、初めて心を揺らされた女性。彼女に嫌われたくない。その一念で悠はうなずいていた。


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その女性は児島沙紀(こじまさき)と名乗った。

派遣の事務をしているとかで、派手な化粧はしていなかったが若々しく魅力的な女性だ。とても、ケータイサイトで相手を探すようには見えない。


『旦那は年上だったんだけど横暴でね。浮気はする、暴力は振るう、子供がいなかったから別れたの。もう、男はこりごり。でもエッチはしたいじゃない? うんと年下ならこっちが主導権を握れるし……なんでも教えてあげるから、しっかりオネーサンで練習するのよ』


二十代に見えたが、本当は悠よりひと回り年上と聞き、驚くと同時にホッとする。

それだけ歳が離れているということは、沙紀にとって目的は本当に若い男とのセックスなのだ、と。


キスはしたくないと断ったら、沙紀は悠の純情さを褒めてくれた。


そして、初めて女性のカラダを知り――それは地獄への幕開けとなる。


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