愛は満ちる月のように
クスッと笑われ、自分でも信じられないほど意地の悪いことを口にしてしまう。


「いや、もともとマヌケなんだ。三十になっても、ピルを飲んでる、なんていう女の言葉を鵜呑みにしてるくらいだからね」


直後、美月は身を翻した。


一分後にはバッグを手に戻ってきて、呆気に取られる悠の前にピルシートを突きつける。

その目には屈辱の色が浮かんでいた。


「これで安心してもらえたかしら? それともドクターの証明書も必要?」


悠はピルシートを受け取らず、両手を上げる。


「わかった。降参だ。全部僕が悪い、だからこれ以上いじめないでくれ」

「いいえ……」


美月は深いため息をつくと、ピルシートをバッグに戻し、悠の腕に触れた。


「笑ってごめんなさい。あなたをバカにするつもりじゃなかったの」

「君が謝ることじゃない。手を振り払われても……汚いと言われても仕方がないと思ってる」

「そんなこと……悠さん、それって誰かに言われたの?」

「……ああ、母にね」


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