愛は満ちる月のように
(4)リセット
「すまなかったな。おまえもいろいろ大変なときなのに……」
ベッドに横たわる父は想像以上に弱って見えた。
あらゆる意味で見上げてきた父が、いつまでも自分より前を歩いている訳ではない、と感じる瞬間。これが、父と顔を合わせ辛いと思う大きな理由だ。
おそらく悠は、自分で思う以上に父を慕っているのだろう。
認めたくないそんな思いは、認めざるを得ないところまできている気がした。
「いや、別に……」
「だが、美月さんの件はまだ終わっていないだろう?」
父の言葉にドキリとする。
悠の中では何ひとつ終わっていない。それをどこまで知られているのかわからないが、答えられずに横を向いた。
「もっとも、終わっていないのは沙紀の件も同じだが……」
「父さん! それは」
まさか父が、母や桜の前で沙紀の名前を出すとは思わず、悠は声を上げる。
恐る恐る母を見るが、少し困ったような微笑みを浮かべ、父の顔をみつめていた。
「そのことは……母さんや桜の前では……」
「いや、母さんにもきちんと話をして相談したんだ。いろいろ準備をするのに忙しくて……年甲斐もなく無理をしたらしい」
「……準備って? いったい、何をする気なんだ?」
「実はそのことで、おまえに頼みがある」
悠の問いに父が口にした頼みとは……。
ベッドに横たわる父は想像以上に弱って見えた。
あらゆる意味で見上げてきた父が、いつまでも自分より前を歩いている訳ではない、と感じる瞬間。これが、父と顔を合わせ辛いと思う大きな理由だ。
おそらく悠は、自分で思う以上に父を慕っているのだろう。
認めたくないそんな思いは、認めざるを得ないところまできている気がした。
「いや、別に……」
「だが、美月さんの件はまだ終わっていないだろう?」
父の言葉にドキリとする。
悠の中では何ひとつ終わっていない。それをどこまで知られているのかわからないが、答えられずに横を向いた。
「もっとも、終わっていないのは沙紀の件も同じだが……」
「父さん! それは」
まさか父が、母や桜の前で沙紀の名前を出すとは思わず、悠は声を上げる。
恐る恐る母を見るが、少し困ったような微笑みを浮かべ、父の顔をみつめていた。
「そのことは……母さんや桜の前では……」
「いや、母さんにもきちんと話をして相談したんだ。いろいろ準備をするのに忙しくて……年甲斐もなく無理をしたらしい」
「……準備って? いったい、何をする気なんだ?」
「実はそのことで、おまえに頼みがある」
悠の問いに父が口にした頼みとは……。