ヲタク彼女
 次の日にはもう噂になっていた。
 噂がどんな風に流れているのか、俺を白い目で見る奴、俺に同情の視線をむける奴、反応は様々だった。
 教室にはもう彼女がいて、彼女は普通に笑っていた。
「おはよう」
「おはよう、聖二」
「びっくりしたよ。昨日いきなり帰るんだもん」
「あの後カラオケ行ってさ、こいつマイク離さねーの」
 みんなもあのことについてあれやこれやと聞いてくるのかと思っていたから、俺は拍子抜けした。
 でも、みんなは、そんな話知らないというように、バカみたいな話を延々俺にした。
 なんだかそれが有り難くて、嬉しくて、俺もバカみたいに笑った。
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