隣に魔王さん。


「ほぅ、起きたか。」


王さまが私を玉座から見下ろす。なんか、聞き覚えのある声なのですが?


「………」


私はただジッと王さまを見る。

「何も喋らんのか。お前、名は?」


王さまは玉座から立ち上がり階段を一段ずつ降りてくる。



「………神崎、なつかです。」


黒髪が揺れて、顔が見える。
見慣れたってか私の記憶ではついさっきまで見ていた顔が目の前に………



___って!変態!!



「お前、ここに住め」

「………は?」

「!っ王!!


王さまの隣で控えていた人が驚きの声をあげる。
そーだよね、うん。そーだと思うよ。こんな素性知れない人を住まわせるなんてねー
ってなんでこんなに余裕なんだろって自分でも思うんだけど…
ってか!もーやだ!


「帰らせていただきます。」

「そうですよ、この少女が可哀想です!」


この人話わかる!
と思い、王さまに食って掛かる金髪美形の臣下ってか側近さまをジーッと見つめる。
なんだここは、お決まりのあれ?美形ばっかのあれ?


「もう決めたことだ。それに暫くは帰れんぞ。」

「はい?」


嫌な汗がツーッと背中を落ちていく…もしや…?


「人間界への扉は壊れたからな。」

「………はぁ?」

「………貴方って人は、」


この広い部屋に溜め息が充満する。え、誰のかって?
王さま以外の人のですよ。





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