隣に魔王さん。
「あ、えと…私、神崎なつかと言います。」
相手に自己紹介されたら此方もする。それが常識だと思って生きてきました。
「神崎さま、ですね。王がお呼びです。こちらへ、」
ち、ち、ち、ちーーーん。
でましたよ。ファンタスティックなワードが。
召し使いってだけでファンタジーなのに、なんと王さままで。
これは夢ですか?夢だと信じたいのですが、頬をつねっても痛いです。ってか何時代?
「神崎さま?」
動かず、じっとなにかを見つめている私に不思議そうに声をかける。私は慌てて、
「はい、いいい今いきますっ!」
駆け寄ってスウハさんの後をついていく。
暫く歩いてドでかい扉の前に着いた。
「王、お連れしました。」
「ご苦労、下がって良いぞ。」
開け放たれた扉。
ゴクリ、唾を飲み込んで一歩前へ足を踏み出す。
赤い絨毯が真っ直ぐ引かれて、
白い大きな柱が何本も建ち並んでいる。
階段の上にひとつある大きな玉座
何もかもが私に威圧感を与える。
一歩踏み出す度に注がれる視線。好奇のものもあれば疑心のものも。