メルラバ

答え

「もう、ほんまにアイツらはぁ…」

逃げるように店を出ると、生温い風が私と秋の髪を揺らした。

私の右手は当たり前のように秋の左手に包まれていて、少し暮れかかった空に浮かぶ夕陽を背に、前へと長く伸びる影の形がなんだか照れくさい。

「ねぇ、いいのかな」
「何が?」

「手。写真撮られたら…」

言い訳が出来ない。

臆病風に吹かれる私とは裏腹に、秋が握った手に力を込めてくる。
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