ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
―――左肩が灼けるように疼く。
夢の中ですら痛む傷に顔をしかめながら、私は微睡んでいた。
暗い、暗い部屋の中に一人。
出口を探すためにさまよって、部屋の隅にぶつかる度にしゃがみこむこと早4回。…いい加減限界だった。
「誰かぁ………」
そうつぶやいてもどこからも返事が返ってくることがなくて。
痛む傷口に手をやり、にじむ涙をこらえる。
―――こんなこと、前にもあった。
前はすぐに目覚めることができたのに、今回はそのきっかけすら掴めない。
絶望感に近い気持ちになった私は、そっと彼の名前を呼んだ。
「…愁」