ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
銀色の髪。
青紫色の瞳。
私を呼ぶ声、あたたかさ。
名前を呼ぶ度によぎる愁の全部に触れたくてたまらなかった。
「………守る、って言ったじゃない…」
とうとう堪えきれなくなった涙が床に落ちる。
「愁――…」
“菜々美”
そのとき、確かに声がした。
私を呼ぶ愁の声。それにつられて顔を上げると、視線の先には淡い光が見えて。
その先でゆらりゆらりと動く銀色の髪目指して、私はただ夢中で走った。