ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「ぬしは見てて飽きぬな。早よう食べてしまえ、食休みをしたら風呂へ案内しよう」
ちょうど食べ終わったのか箸を置いた愁は、そう言って私の頭を撫でる。
その何気ない仕草に私の頬があっという間に熱くなるのを、愁は声を殺して笑いながら見つめているのだ。
「お風呂!わかった、早く食べちゃう!」
(たぶんバレてるんだろうな)
ドキドキとうるさい心臓の音を隠すようにはしゃいでみせると私は一気にご飯をかき込んだ。
―――愁が私のことを好きだなんてまだ信じきれなくて。
その端正な顔が私に笑いかけてくれる度に、あのときのキスが頭をよぎるんだ。
また、されたい。…なんて言ったら軽蔑されるのかな。