クロス†ハーツ


「え、ちょっと待ってよ!こんなの着るなんて聞いてない…!」

「私言ってないし。聞いてるわけないじゃない」

「何それ!?」


午前の授業が終わり、午後は文化祭準備の時間。
私のクラスも順調に準備が行われていたはずなのだが、小夜の持ってきた衣装に私は思わず声を上げてしまった。


「なんで、お化け屋敷なのに、…猫耳なわけ?」

「え、猫娘よ。ほら、あるでしょ?妖怪の、」

「でも絶対コレおかしい!」


小夜が持っていたのは、ふわふわの猫耳と同じくふわふわの毛のキャミソールとショートパンツ。もちろん尻尾付きである。
絶対に妖怪の猫娘の、しかもお化け屋敷で着るような服じゃない。


「まあいいじゃん。これしかなかったの、猫っぽいやつ」


そう言って小夜は、悪びれた感じもなく言ってのけた。

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