クロス†ハーツ



遡ること3週間。
新学期が始まったばかりの夏。

私のクラス、1年C組はさっきクラス委員長になったばっかりの山下小夜が教壇に立って委員決めをしていた。
ちなみに小夜は、私の親友でもある。




「えーと、だいたい委員決まったよね?あとは…」


と、小夜が委員会の種類や先程委員に決まった人達の名前を書き連ねた黒板を見る。
それを見るなり小夜はため息をついていた。


「…風紀委員候補、だけか」


小夜が呟くと、教室にざわつきが目立ち始めた。




風紀委員というのは、各クラスから候補を出して、選挙で決まった委員長がその候補の中から、委員を決める、という異色な委員会。
もう一つの生徒会と考えた方が自然かも知れない。


うちの学園の生徒会と風紀委員は、そこら辺のアイドルよりも騒がれる。そりゃもう、入ってしまったら注目されまくりの生活で大変だ。
私はあまり興味ないけど、事ある毎に騒がれて、少なからず同情したこともあるくらい。




「誰か、やりたい人いないのー?」


小夜の少し困ったような声が、教室に響く。
その声にクラスメイトは、少しうつ向きぎみだった。

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