クロス†ハーツ
「え、サボり?そんな、…今は委員会ないでしょ?」
「ないわけないでしょ。会計の仕事、どれだけあると思ってるの?」
水瀬の言葉が信じられずに、言い返してしまう。
でもその度に、水瀬の作られた笑顔が歪んでいく気がした。
自然に私の頭の中に、最悪のシナリオが組み立てられていく。
私は、委員会を平気な顔してサボってしまったんだ。
「あ、…ごめんな――」
「謝罪を聞いている暇は無いんだ。とりあえず視聴覚室に」
水瀬は私の言葉を遮って、短く言った。
そして、そのまま後ろに振り返ると同時に、私の腕を掴み歩き出した。
「え、ちょ、…に、荷物…!」
「…」
掴まれた手首を離してもらおうとしても、びくともしない。
後ろの方で、小夜の困惑した声が聞こえたような気がしたけど、今の私には振り返る余裕も無かった。