クロス†ハーツ
「み、水瀬…?」
「…」
水瀬は未だに黙ったまま、私の手首を掴み歩き続けている。
もう中庭まで来てしまった。教室から視聴覚室に行くには、建物が違うので中庭を突っ切るのが、一番の近道なのだ。
今は周りに人がいないけど、人の多い廊下でも愛想を振りまかずに無表情で歩いていたところから見ると、かなり怒っているようだった。
考えれば考えるほど、後で何言われるか何されるかが怖くなっていった。
「…!え、」
すると、いきなり水瀬が足を止めた。
あまりにも急だったので、私は水瀬の背中に思い切りぶつかってしまった。
周りを見ると、いつの間にか視聴覚室のある第一校舎に来ていた。
手首はまだ掴まれたまま。
私は何も言わない水瀬に不安になって、何か話そうとすると、水瀬が私の方に振り返った。
「…っ」
「雨宮…」
名前を呼ばれた瞬間、自分の体がひどく強張るのを感じた。