クロス†ハーツ



『正門異常なし。体育館はどう?』

「体育館も平気だよ。これで午前の演目終わりだし」

『了解!』


右手に持った無線の通信が途切れると同時に、私はため息をついた。


警備の仕事は本来は立ってるだけで良いんだろうけど、風紀委員が人数不足のせいで、私たちは異常なしを確認したら、すぐに次のポイントに行かなければならなかった。

それで本当に意味があるのか、と言われれば、言葉に詰まるけど、私たちのベストはこの形だった。




「はぁ…。午後はイベントかぁ…」


次のポイントである講堂に向かいながら、呟いてみる。
言葉にすると、実感が沸いてきて、さらに暗い気持ちになった。


中高合同イベントは、毎年一番盛り上がる、私たちの学園の目玉行事だった。

私は高等部からだから詳しくは知らないけど、葵と唯の中等部の文化祭に行ったことがあるので、去年のイベントもチラッと見ている。
でも、去年は葵も唯も生徒会役員じゃなかったから、そんな真剣に見たわけじゃないので、記憶はかなり曖昧だった。




……それなのに。
私がイベントの恒例行事で舞台に立つだなんて。

なんて気が重いんだろう。




そんなことを考えて、私はまたため息をついた。

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