クロス†ハーツ
確かに私は、舞台上に立つということで、多少の化粧をしてる。
でもそれだけで、衣装は制服なのだ。
「おめかしっていうか、け、化粧してるだけだよ…!?」
「まあでも、いつもの雰囲気とは確実に違うよな」
尚人がニヤついた顔で言う。
「確かに、いつもあまり化粧しないけど、す、少しはしてるんだから…!」
「はいはい」
懸命の反論にも関わらず、尚人とついでに雅矢くんにまで苦笑されてしまった。
それがちょっと頭にきて、私は言わなくても良いことまで口走ってしまう。
「ていうか、なんで水瀬は、いつもと同じはずなのに、そんなに雰囲気違うのよ…!」
こう叫んだ途端、水瀬の顔がみるみると、無表情から気持ち悪いほど輝かしい笑顔に変わった。
「雨宮、俺のちょっとした変化に気付くほど、いつも俺のこと見てるのか?」
「な…!」
水瀬は、ここぞとばかりに私のことをからかってくる。
「そうか。お前はそんなに俺のことすきだったか」
「な、なにバカ言ってんのよ!」
視界の端っこで、雅矢くんと尚人が呆れているのが見えた気がしたけど、そんなの構っていられなかった。
なんで私が、水瀬をすきとかになるわけ!?
こんなサディスト、だいっきらいよ!