クロス†ハーツ
ムッとした顔で後ろに振り向くと、さっきの中等部の生徒会の子にしたような爽やかな笑顔をした水瀬が、帆香ちゃんに話しかけている。
すると、帆香ちゃんは、特に驚きもせずに答える。
「そう!もう1人の副会長は、男子だしねー…。1人は2年が良いって思ったんだけど、書記にしかいなくて…」
「副会長が出たほうが良いってなったんだ」
「まーね。普通は会長と副会長だしね」
「…」
普通に話している水瀬と帆香ちゃんを見て、なんだか不思議な気持ちになった。
そういえば、水瀬が風紀委員の人以外と普通に喋ってるの、初めて見るかも…。
なんだろう。
この変な、感じ。
この不思議な気持ちは。
『さて次は、今回の文化祭の大目玉!中等部生徒会、高等部生徒会、風紀委員会の皆さんの登場です!…その前に一つ連絡があります――』
すっかり考え込んでいたため、マイクを通して聞こえた言葉に、私は肩を震わせた。すると。
「おい雨宮。お前、緊張してこけるなよ?」
「な…!」
ニヤついた顔で、水瀬が私にだけ聞こえるように、耳元で話す。
私はいきなりの行為に、バッと耳を手で押さえた。
「ふっ…」
そんな私を見て、水瀬はバカにしたような、見下したような顔で笑った。
そして、またいつかみたいに、私の頭に手を乗せて。
「頼んだぞ、バカ女」
そう、呟いた。