クロス†ハーツ
気付けば、帆香ちゃんが「来ない」と言っていた会長は、いつの間にか私たちの後ろにスタンバイしていた。
「凛ちゃーん!僕の隣は、凛ちゃんが良かったなー」
「うるさいっての。少し黙ってろ!」
「えー帆香ちゃん怖いー」
「キモい!」
こんな会話がされていたけど、私の頭の中は、なんだかもやもやした気持ちが渦巻いていて、2人の会話はあまり耳に入ってこなかった。
「あれ、凛?」
「え、あ――」
いきなり前の方から聞きなれた声がして、うつむいていた顔を上げると。
「ホントだ、凛ちゃんだ」
「何やってんの、こんなとこで」
そこには、葵と唯がいた。
2人とも走ってきた様子で、忙しいことが見ただけで分かる。
「あ、私、代理でこれに出ることになって…」
「え、マジ?」
「じゃあ、雨宮家総出演だねー!」
葵は昨日の夜、ちょっと気まずかったけど、話してみるといつもと同じだった。
…そんなに気にしなくて、良かったのかな?
「なんか、凛がいるとやりにくいなー…」
「え、何で!?」
「葵、中等部で人気でキャーキャー騒がれてるからね。凛ちゃんに見られるの、恥ずかしいんだよね?」
「唯、黙れ」
「こわ…」
見知った葵と唯と話せたおかげで、緊張が少し解けた気がする。
その時、肩の上に重みを感じると同時に、頭上から声がした。