女王様のため息



「司くんは、会社で設計をしているのか?真珠と同じ会社で働いてるなら、結構できるオトコなんだな」

食卓いっぱいに並べられたごちそうに舌鼓をうちながら、休む事なく箸を動かしている父さん。

「天ぷら揚がったわよ、どんどん食べてね。もうすぐ茶碗蒸しも出来上がるから待っててね」

司が結婚の挨拶をして以来、無礼講とばかりに次々と料理を作っては運んでいる母さんは忙しく動き回っている。

私も揚げ物を手伝ったり、和え物を作ってはせっせと司のもとへと運んでいる。

もともと料理自慢な母さんにしこまれている私だから、母さんの動きには自然に対応できるし、段取り良く料理も完成させていって。

久しぶりの母さんとの台所は、とても楽しかった。

「あと、冷蔵庫に鯵の南蛮漬けも作ってあるわよ。司くんは、好きかしら」

「んー。好き嫌いはないはずだけどな。でも、かなりの量を並べてるから、とりあえずもういいと思うよ。きっとお腹いっぱいじゃないかなあ」

父さんと話しながら、時折笑い声をあげている司の手元には、お寿司をはじめとして、かなりの量の料理が並んでいる。
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