女王様のため息
   *   *   *


夕方、海と一緒に部屋を出た。

結局お布団を取り込んでもらって、普段一人じゃできない簡単な模様替えも手伝ってもらった。

通販で取り寄せた二人掛けのソファを寝室に配置できなくて、海が来てくれるのをずっと待っていた。

カタログを見て一目ぼれしたソファは、スカイブルーが目に鮮やかで、海いわく

『寝室にはミスマッチ』

だそうだ。ちょっとむかついた。

でも、座り心地は抜群で、夜中に眠れない時にベッド横のテレビを見たり読書をしたりと、いい仕事をしてくれそう。

そんな面倒な仕事も嫌な顔をせずに引き受けてくれる海に甘えっぱなしの自分が情けなくもあるけれど、とりあえず、どちらかに恋人ができて、それぞれの時間に忙しくなるまでは……と勝手に甘えている私。

「俺、ちょっと親父の店に顔出してから帰るけど。
真珠が泣きわめいて飛び込んでくるまでには部屋に戻ってるから、安心して木端微塵にされて来い」

私の頭をくしゃくしゃとしながら、喉の奥を震わせている海。






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